フローリングの交換には「重ね張り(上張り)」と「張り替え」の2種類の方法があり、どちらを選ぶかによってかかる費用や時間、仕上がりに差があります。このうち、その手軽さから近年人気が高まっているのが、重ね張りによるリフォームです。
重ね張りとはどんな方法で、いったいどんなメリット・デメリットがあるのか。施工する場合はどんなことに注意すればいいのかなど、フローリングのリフォーム前に知っておきたいことをまとめてご紹介します。
重ね張り工法は上張り工法ともいい、その名のとおり、既存のフローリングの上に、新しいフローリング材を重ねて張っていく方法です。
もう一方の張り替え工法は、古いフローリングをはがし、新しいフローリングと張り替える方法になります。
重ね張り工法のメリットは、既存のフローリングをはがす工事をする必要がなく、ゴミが出ないことです。当然、その分全体の工事時間は短くなりますし、解体費や処分費がかからないのでリフォーム費用も安くなります。
8畳ぐらいのお部屋なら、1日かからずに工事が終わってしまうことも珍しくありません。工事の際に出る音もそれほど大きくないので、近隣への影響もあまり心配しなくて済みます。
加えて、二重にフローリングが重なった状態になりますので、床の強度が上がり防音効果も期待できます(※床スラブの上に専用の支持ボルトを立てて、その上に床材を張る二重床ではありません)。特に下への音の響きが気になる方には、心強い面もあります。床暖房対応の重ね張りフローリングを選べば、床暖房もそのまま使うことができます。
多くのメリットがある重ね張り工法ですが、デメリットもいくつか存在します。
その筆頭は、重ね張り工法を用いると、新しく張ったフローリング材の厚みの分だけお部屋全体の床が上がり、敷居や造り付けのクローゼットなどとの高低差が変わることです。
通常、フローリング材の厚みは12~15mmですから、重ね張りをするとこの分だけ床が上がることになります。元々敷居が高かったり、クローゼットの扉が床から少し高い位置に設定されているなら特に問題ありませんが、敷居部分の高低差が小さかったり、クローゼットの扉が床の高さギリギリだったりした場合、敷居の部分の高さがなくなってしまったり、扉が開かなくなってしまったりする危険性があります。
重ね張り工法は、既存のフローリングをはがさないので、当然ながら、フローリングを支える下地の状態までは確認できません。もし、下地部分に腐食やシロアリが発生していても、対処できないのもデメリットになります。
また、フローリングの重ね張りは、基本的にフローリングからフローリングへの張り替えの際にのみ可能な工法です。マンションで多く見られる、カーペットからフローリングへの変更をしたい場合では選ぶことができませんので、この点にも注意してください。
以上のメリット・デメリットを踏まえ、重ね張り工法でリフォームを行う際の注意点をまとめました。
お部屋の床の高さが大きく変わると、お部屋の雰囲気が変わる、家具が使いづらくなる、キッチン台が低く感じられ作業がしにくくなる、段差ができてつまずきやすくなるなど、さまざまな悪影響があります。
重ね張りリフォームを行うなら、段差対策はきっちり考えておく必要があります。
段差対策には、重ね張り用に販売されている厚さ1.5~6mm程度と、非常に薄いフローリング材を使うことがまず挙げられます。今は各社から多種多様な重ね張り専用のフローリング材が販売されていますので、有効な解決法といえます。
もう1つの対策は、段差解消アイテムを使う方法で、敷居とのあいだに見切り材を入れることで、なだらかな傾斜を作り、段差をなくすことができます。
なお、段差がほんの数mm以内の場合は、既存のフローリング材を工具を使って削り出し、なだらかな傾斜を作ってから新しいフローリング材を張ることで、段差を解消する方法もあります。
フローリングの張り替えを決めるきっかけは、「傷みや傷が目立ってきたから」「最近きしむようになってきたから」など人それぞれですが、床のきしみや沈み解消のために重ね張りを行うのは要注意です。
床のきしみや沈みはフローリング材の問題ではなく、下地に原因がある場合もあります。既存のフローリングを張ってからまだ日が浅く、フローリングの汚れや傷が張り替えの理由であれば気にする必要はありませんが、フローリングを張ってから10年以上経過していたり、きしみや沈みが張り替えの理由であったりする場合は、一度専門家に下地をチェックしてもらうのがおすすめです。
最近では、重ね張り専用のフローリング材や見切り材もラインナップが充実し、重ね張りのデメリットも解消しやすくなっています。また、かかる時間とお金を節約できるなど、重ね張りには大きなメリットがあります。
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